STATE Of Fear進行中

 いよいよ最後の佳境に入りました。
 エヴァンスは長い訳の分からない旅行も終わり、部屋に戻ってきた。シャワーを浴びようと思ったら、暴漢に襲われた。3人組の暴漢は袋から何か怪しいボールのようなものを取りだし、エヴァンスの腕にひっつけた。蛸だ。青色の輪の模様の蛸は、怒りの色を表していた。痛いと思った。咬まれたようだ。暴漢たちはその蛸を回収すると、電話線を切って去って行った。エヴァンスは体が重くなってきて、だんだん動けなくなってきた。蛸の毒にやられたのだ。
 そこに運良くようすを見に来たサラがエヴァンスを見つけ、様子がおかしいと言うことで救急車を呼んでくれた。が、このヒョウモンダコの毒については普通の病院では対処できない。ケナーにも連絡を取ったサラの判断でこの毒に対して経験のある大学病院に運ばれた。(この毒はトドロトキシンだ。私たち日本人にはふぐの毒で知られているものだ。)

 主人公の回復は早い。午後からの環境問題のカンファレンスにエヴァンスは登場した。ここで、上司のドレイクにはこのカンファレンスを邪魔する教授の相手をして出て行けと言われたエヴァンスはその教授といろいろと話をする。これまでのさまざまな事件と教授の話はつながる。
 環境問題は創られた「恐怖」なのだと。1990年にソ連が崩壊し、人々の最大の恐怖はなくなったかに見えた。そしてこの頃から「カタストロフィ」や「危機」という単語がよく使われるようになってきたというのだ。それは政治家が人々を支配する原理として新たな「恐怖」を必要としたからだというのだ…。
 
 なかなか面白くなってきました。興味のある人は読んでみて。日本語版もあるよ。
「恐怖の存在」恐怖の存在 (上) (ハヤカワ・ノヴェルズ)