ナノテクノロジは人類の味方なの?

 エレクトロニクスや医薬などに応用が期待される炭素などのナノ粒子(超微細粒子)が脳などに蓄積して健康に悪影響を及ぼす可能性があるとして、米政府が毒性評価の本格研究を始める計画が28日分かった。
 ナノ粒子をめぐっては、英王立協会が人体影響の検討を政府に勧告。米英政府が共同で、10月に国際シンポジウムを開くことを決めた。ナノテクノロジー(超微細技術)の産業化で最先端を走る日本でも、影響評価を求める声が強まりそうだ。

 新しいテクノロジが出てくると、それによって人類はどう影響を受けるのかが、不安の種となって話題となる。
 遺伝子組み換えの農作物はまだ十分に市民権を得ているとは言えない。「遺伝子組み換えトウモロコシは使っていません」というスナック菓子を買うし、確認さえする。しかし、本当にそうなのかどうかは、知るすべがない。漠然とした不安があるのも事実だ。
 さまざまな分野で画期的な治療法となる可能性を秘めるナノテクノロジだが、それが体内に蓄積し、脳にまで蓄積することが判明したようだ。そして、蓄積したナノ粒子が脳に対してどのようなはたらきをするのかなんて、まだまだ分からないことだらけだ。この段階でナノ粒子を見切り発車するのは危険だろう。目に見えな大きさだけに、さまざまな悪さが可能だ。秘密情報部辺りが使いたくなるような手口だ。

 前にも紹介したが、マイクルクライトンのPREY プレイ-獲物-(上) (ハヤカワ・ノヴェルズ) はナノ粒子が群体*1となって意識を持ち、人間に襲いかかるという、気味の悪い話だ。ここまでのことが起こるとは思えないが、まぁ、恐竜を化石から復活させた人だから、こんなことまで考えるかなってところですかね。

 私はテクノロジ大好き派だが、最近は非常に高度になってきたため、人間がコントロールしきれるのかどうかをより大きな問題として考えていかなければならないと考えている。
 刃物を間違って使っても、ケガをする程度ですむだろう。最悪、人が死んでも、ごく少数だ。しかし、最近のテクノロジは使い方を誤れば人類の存亡に関わることになりかねないからね。
 そのためにも私たち一般市民も、「科学が分からないから…」と逃げていてはいけない。良識と論理と倫理を持ち合わせていなければ進歩した人類とは言えないのではないか。テクノロジにおぼれていてはいけない。

*1:ぐんたい【群体】分裂や出芽によって生じた個体がそのまま分離せず形成する個体群。普通は、個体(個虫)間に原形質の連絡が見られる場合をいう。植物ではボルボックス・ケイソウなど、動物では海綿動物・腔腸動物などに見られる。合体(ごうたい)。コロニー。